Diary.00:あらすじ
『BioShock』(2007年)
1960年、大西洋上の旅客機墜落事故を生き延びた青年ジャックは、海上の灯台から潜水球で降下し、荒廃した海底都市「ラプチャー」に辿り着く。そこは、絶対的な産業資本家アンドリュー・ライアンが国家や道徳の束縛を忌避し、エリートのための「地上の楽園」として建設した理想郷だった。しかし、超常能力をもたらす幹細胞物質「ADAM(アダム)」の発見が狂気を生み、住民は依存によって怪物「スプライサー」と化し、内戦によって都市は崩壊していた。
ジャックは無線の指導者「アトラス」に従い脱出を目指す。都市内では死体からADAMを回収する少女「リトル・シスター」と、彼女を守る装甲兵「ビッグ・ダディ」が徘徊していた。ジャックは自らもADAMで肉体を強化しつつ、シスターを殺してADAMを「搾取」するか、人間に戻して「救済」するかという道徳的選択を迫られる。
ライアンの妨害を退けて司令室に到達したジャックを待っていたのは、衝撃の真実だった。ジャックはライアンの実子であり、裏社会の黒幕フランク・フォンテインに買い取られ、洗脳と急速成長を施された暗殺用の操り人形だったのだ。行動を強制するトリガーこそ、アトラスの口癖「恐縮だが(Would you kindly)」であった。墜落事故も指示への服従も仕組まれたものであり、自発的だと信じていた行動は全て仕組まれたレールの上だった。ライアンは「人は選び、奴隷は従う」と告げ、ジャックに命じて自らを殺害させ、彼が自由意志を持たぬ奴隷であることを証明する。
直後、アトラスは正体がフォンテインであることを明かすが、テネンバウム博士とリトル・シスターに救われたジャックは洗脳から脱し、真の「自由意志」を獲得する。大量のADAMを投与して怪物化したフォンテインを倒したジャックの結末は、それまでのプレイヤーの選択によって分岐する。
少女たちを「救済」し続けた場合、ジャックは彼女たちを連れて地上へ帰り、人間らしさを取り戻した彼女たちの幸福な人生を見届けながら、年老いた最期に温かな愛に包まれて人生を終える。一方、少女たちからADAMを「搾取」し続けていた場合、ジャックは新たな独裁者となり、調査に訪れた海軍の潜水艦と核兵器を奪取して世界を絶望へと陥れるのだった。
深海と自由意志の優生学:『バイオショック』の思想と狂気を解読する15の思索
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