記憶.00:あらすじ
『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』(2019年)
物語の舞台は、戦国時代末期の北国に位置する架空の国「葦名(あしな)」である。かつて剣聖・葦名一心の手によって「盗国」が果たされ興されたこの地は、一心の老いと病、そして中央政権「内府」の圧倒的な軍勢による侵攻によって滅亡の淵に立たされていた。葦名の将・葦名弦一郎は、自国を護る絶対的な力を求め、神聖にして不吉な不老不死の血脈「竜胤(りゅういん)」を宿す少年・九郎の身柄を拘束する。九郎に仕える忍び「狼」は、弦一郎との死闘で左腕を切り落とされ主君を奪われるものの、荒れ寺の「仏師」からからくり兵器「忍義手」を授けられ、主君奪還のため再び立ち上がる。
本作は、主従関係にある狼と九郎を中心に、不死の力を巡る人々の業と相克を描く。
主人公である狼は、過酷な忍びの掟に従い育った寡黙な従者であり、主君との契約により死しても蘇る肉体を持つ。主君の九郎は、古くから葦名に伝わる竜胤の御子であり、その血が世を惑わし、周囲の人々の命を侵食する病「龍咳(りゅうがい)」を引き起こすことを深く恐れている。九郎は自らの不老不死の血脈をこの世から永遠に絶つ「不死断ち」を決意し、狼に協力を求める。一方、葦名の存続に執念を燃やす葦名弦一郎は、変若水(おちみず)による擬似的な不死の力を自らに取り込んででも内府軍を退けようとし、狼たちの最大の障壁となる。葦名の建国者である葦名一心は、弦一郎の暴走を危惧しつつも病床から国の末路を見守り、陰ながら狼の戦いを支援する。
九郎を奪還した狼は、主君の意を汲み「不死断ち」に必要な秘宝を求める旅に出る。金剛山仙峯寺にて不死の者を滅ぼす刀「不死斬り(拝涙)」を手に入れ、落ち谷の「お宿り石」、葦名の底の「馨香の水生の花」を揃えた狼は、不死の源流たる「源の宮」へと至り、神木「桜竜」より「神の涙」を拝領する。この道中、生存していた義父にして忍びの師である梟と再会するが、竜胤の力を私欲のために掌握せんとする梟の野望を知り、狼は忍びの掟を破ってでも九郎への忠義を選び、義父を自らの手で討ち果たす。
物語の佳境、内府軍による全面侵攻が始まり、葦名城は炎に包まれる。時を同じくして一心が病没すると、窮地に追い詰められた弦一郎は、自らの命を生贄に黒の不死斬り「開門」を突き立て、全盛期の姿で一心の魂を黄泉がえらせる。狼は葦名の落日を背に、死線を超えて顕現した一心との熾烈な死闘を制する。
結末において、狼は九郎とともに不死の連鎖に決着をつける。神の涙を用いて竜胤を絶ち切る「不死断ち」、自らの命を代償に九郎をただの人間へと戻す「人返り」、あるいは奥の院の「変若の御子」の協力を得て竜胤を西の故郷へ還す「龍の帰郷」など、過酷な決断の果てに選ばれた道に応じて、それぞれの終焉と未来が描かれる。
不死と宿命の弁証法:『SEKIRO』の竜胤と死闘を解読する11の思索
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