BD.00:あらすじ
サイバーパンク:エッジランナーズ(2022年)
本作は、極度な資本主義とテクノロジーの暴走によって倫理が瓦解した未来都市「ナイトシティ」を舞台に、貧困層の少年がいかにして裏社会の伝説となり、消費されていったかを辿る悲劇的なアニメーションである。主人公デイビッド・マルティネスは、巨大企業アラサカ社が運営するエリート校の生徒であったが、救急医療の露骨な貧困層への見殺しという構造的暴力により母グロリアを失う。絶望の淵に立たされた彼は、母が不法所持していた軍用インプラント「サンデヴィスタン」を移植し、超常的な反射神経を獲得することで、抑圧的な社会システムに対する反逆的生存を選択する。
これを契機にデイビッドはネットランナーの少女ルーシーと邂逅し、傭兵メインが率いる「エッジランナー」のチームへと組み込まれる。チームには、メインの右腕ドリオ、エキセントリックな技術屋ピラルとその妹で銃撃戦の達人レベッカ、冷徹なキーウィら、都市の暗部を体現するアウトローたちが集っていた。デイビッドは過酷な任務のなかで類稀なる適応力を発揮する。同時に、月へ行くというルーシーの夢を共有する過程は、自己の存在意義を他者の夢の実現に仮託していく精神的偏重の始まりでもあった。
中盤、肉体の過剰な機械化がもたらす不可逆の精神崩壊現象「サイバーサイコシス」がチームを襲う。ピラルの不条理な死に続き、発症したリーダーのメイン、そして彼に殉じたドリオが凄惨な最期を遂げる。デイビッドはメインの遺志と重火器サイバーウェアを継承し、新リーダーとしてレベッカらを牽引する道を選ぶ。この過剰な身体拡張は彼自身をも破滅へ追いやる行為であったが、彼はルーシーや仲間を守るという大義のもと、自己の限界を黙殺し続ける。
終盤、冷酷なフィクサーであるファラデーの暗躍により、アラサカ社と競合ミリテク社による暗闘が激化する。ルーシーは、アラサカの重役タナカのデータから、デイビッドが次世代兵器の実験体に選ばれた事実を知り、彼を守るべく単独で暗躍していた。しかし、ファラデーの策謀と保身に走ったキーウィの裏切りにより捕らわれてしまう。精神と肉体の限界を迎えていたデイビッドは、運び屋ファルコらとルーシー奪還に向かい、アラサカが開発した狂気的な重武装外骨格「サイバースケルトン」を装着する。
欠陥兵器の負荷により崩壊していく自我を薬物で辛うじてつなぎ止めながら、デイビッドはアラサカ・タワーへと絶望的な特攻を仕掛ける。そこで待ち受けていた企業側の究極的暴力の象徴、伝説のサイボーグであるアダム・スマッシャーとの死闘の末、レベッカが惨殺され、デイビッドの肉体も完全に破壊される。だが死の直前、ファルコにルーシーを託し逃走させることには成功した。結末において、ルーシーは悲願の月面到達を果たすが、傍らにデイビッドの姿はなく、ただ幻影だけが瞬くのだった。
重力と破滅の軌道論:『サイバーパンク: エッジランナーズ』の夢と崩壊を解読する14の思索
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