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alan wake

File.00:あらすじ

本編の考察を読む前に物語の全体像と結末を振り返ることができるよう、「あらすじ」をまとめた。(ネタバレあり)

『Alan Wake』(2010年)

主人公であるベストセラー・スリラー作家のアラン・ウェイクは、2年以上に及ぶ深刻な執筆スランプに陥っていた。静養のため、彼は妻のアリスと共にワシントン州の田舎町「ブライトフォールズ」を訪れ、コールドロンレイク(大釜の湖)に浮かぶ小島に建つキャビンに滞在する。しかし、その湖の底には「闇の気配(Dark Presence)」と呼ばれる超自然的な邪悪な存在が潜んでいた。

闇の気配はアリスを湖の底へと引きずり込み、アランもまた彼女を救おうと湖へ飛び込む。その後、アランが目を覚ましたのは、一週間後の事故を起こした車の中であった。彼にはその一週間の記憶が完全に欠落していた。

車から降りたアランは、自らが書いた記憶のない新作小説『ディパーチャー(出発)』の原稿の断片を次々と拾い集めることになる。恐ろしいことに、その原稿に書かれた通りに超自然的な現象が次々と現実化し、町の人々や闇の気配に操られた者たち(闇に飲まれた者=Taken)がアランに襲いかかる。アランは光(フラッシュライト等)を武器に、自身の書いた物語の結末を書き換え、アリスを救出するための戦いを余儀なくされる。

調査を進める中で、アランは1970年代に同じくコールドロンレイクの闇に魅入られた詩人、トーマス・ゼインの存在を知る。ゼインはかつて闇の気配を封じ込めるために自らと恋人を犠牲にし、未来に現れるであろうアランのために「クリッカー」と呼ばれる物語上の安全装置(デウス・エクス・マキナ的アイテム)を原稿に書き残していた。

アランは物語の力を利用して闇の気配(バーバラ・ジャガーの姿を借りた存在)を打ち倒すため、ゼインが残したクリッカーを用いて自らの心臓部に光を撃ち込む。しかし、アランは「優れた物語には均衡(代償)が必要である」という創作の絶対法則を悟る。ホラー小説において、誰も犠牲にならないハッピーエンドは成立しないからだ。

最終的にアランは、アリスを現実世界へと生還させるための代償として、自らをコールドロンレイクの底にある異空間「闇の世界(Dark Place)」に幽閉する結末を書き上げる。現実世界でアリスが目を覚ます一方、闇の世界に囚われたアランは、この超自然的な脅威が単なる一つの湖に留まらないことを示唆する「湖ではない、海だ(It’s not a lake, it’s an ocean.)」という不可解な言葉を残し、物語は幕を閉じる。

『Alan Wake 2』(2023年)

前作から13年後の2023年。物語は、ブライトフォールズで発生した連続猟奇殺人事件を捜査するFBI捜査官サーガ・アンダーソンと、13年間「闇の世界」に囚われ続け、狂気に抗いながら脱出の物語『イニシエーション』と『リターン』を書き続けるアラン・ウェイクという、二人の主人公の視点が交錯する形で進行する。

サーガは相棒のアレックス・ケイシーと共に「カルト・オブ・ザ・ツリー」と呼ばれる教団の捜査を進めるが、やがて彼女の周囲で「アランの書いた原稿」が現実化し始める。さらに恐ろしいことに、現実が書き換えられた結果、サーガの娘ローガンは数年前に水難事故で死亡したことになってしまう。サーガは愛する娘と自身の現実を取り戻すため、超自然的な事象の中心へと足を踏み入れていく。

一方、闇の世界のアランは、ニューヨークの街を模した悪夢の空間で脱出のための原稿を書き直すループを繰り返していた。彼は、自身の邪悪なドッペルゲンガーである「スクラッチ(Mr. Scratch)」が現実世界を破滅させる物語『リターン』を執筆していると考え、それを阻止しようと奔走する。

しかし、物語の中盤で残酷な真実が明かされる。スクラッチという別個の怪物は存在せず、その正体は「度重なるループによる絶望と狂気によって『闇の気配』に取り憑かれたアラン自身」であった。アランが自分自身を追い詰め、無意識のうちに破滅的な物語を執筆していたのである。また、サーガが追っていた「カルト・オブ・ザ・ツリー」は、闇の気配を召喚する教団ではなく、実は町を闇の気配(およびスクラッチ)から守護するために活動していた自警団であったことが判明する。

サーガは自身の持つ超能力(心の中の空間「精神の部屋」における真実の看破)を駆使し、闇の世界へと至る。そこで彼女は、前作で救出され、のちに自らアランを救うために闇の世界へと戻ってきたアリス・ウェイクの導きを受ける。アリスは、アランが経験しているのは脱出不可能な「ループ(円環)」ではなく、徐々に出口へと向かっている「螺旋(Spiral)」であることを伝えていた。

サーガとアランは共闘し、改変された物語『リターン』に新たな結末を書き加える。サーガは、アリスが残した「光の弾丸(Bullet of Light)」をアラン(=スクラッチ)の頭部に撃ち込み、彼の中から闇の気配を完全に物理的にパージ(追放)する。

物語の最終盤、アランは一度死を迎えたかのように見えたが、再び目を覚ます。サーガの娘ローガンが無事に応答し、現実が正しく修復されたことが示唆される。アランはついに自らを取り巻く構造が「ループではなく、螺旋だ」と完全に理解し、闇の気配を克服した「二つの世界のマスター」として覚醒を果たす。13年に及ぶ果てしない恐怖と自己破壊の螺旋から、ついに彼らが抜け出した瞬間であった。

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